実家のお墓が遠方にあってお参りに行けない、お墓を継ぐ人がいない、親から「自分たちの代でお墓を片付けたい」と相談された。こうした理由から、墓じまいを考える人が年々増えています。
Yahoo!知恵袋にも「墓じまいの費用は全部でどのくらい?」「お寺から高額な離檀料を請求された」「取り出した遺骨はどこに納めればいい?」といった相談が数多く寄せられています。厚生労働省の衛生行政報告例によると、お墓から遺骨を別の場所に移す改葬の件数は2023年度に16万6,886件と過去最多となり、2011年度の約2.2倍に増えました。
墓じまいには、墓石の撤去費用だけでなく、閉眼供養のお布施、行政手続き、遺骨の新しい納骨先の費用などがかかり、総額で数十万円〜300万円程度と幅があります。費用の内訳と手続きの流れを事前に知っておけば、想定外の出費や親族・お寺とのトラブルを防げます。
本記事では、墓じまいの費用相場と内訳、手続きの流れ、遺骨の新しい納め先の選び方、離檀料のトラブルを避けるポイント、費用を抑える方法まで、知恵袋に寄せられた声を交えて詳しく解説します。

墓じまいとは?増えている理由
この章のポイント
- お墓を撤去して更地に戻し、遺骨を別の場所へ移すこと
- 改葬件数は2023年度に過去最多
- 継承者不足や遠方の管理負担が主な理由
墓じまいとは、今あるお墓から遺骨を取り出して墓石を撤去し、区画を更地に戻して墓地の管理者に返すことです。取り出した遺骨は、永代供養墓や樹木葬、納骨堂など、新しい供養先に移します。法律上は「改葬」と呼ばれ、市区町村の許可が必要な手続きです。
墓じまいを考える主な理由
墓じまいを選ぶ人が増えている背景には、次のような事情があります。
- 子どもがいない、子どもが遠方に住んでいてお墓を継ぐ人がいない
- 実家のお墓が遠く、高齢になってお参りや掃除に行くのが難しい
- 年間管理料や寄付の負担を次の世代に残したくない
- 実家じまいに合わせて、お墓も自分たちの住まいの近くに移したい
少子化や都市部への人口集中が進むなか、地方にある先祖代々のお墓を維持し続けるのは、ほとんどの家庭にとって大きな負担になっています。
知恵袋に寄せられた声
Yahoo!知恵袋には、次のような相談が投稿されています。
- 墓じまいの見積もりを取ったら、墓石の撤去だけで50万円と言われて驚いた
- 菩提寺に墓じまいを伝えたら、離檀料として100万円を請求された
- 親族に相談せずに墓じまいを進めたら、叔父から「先祖に申し訳ない」と責められた
回答では「石材店の見積もりは複数社で比較すべき」「離檀料に法的な支払い義務はないが、これまでのお礼として相場程度を包むのが一般的」「親族には早めに相談して理解を得ておくことが大切」といったアドバイスが目立ちました。
墓じまいの費用相場と内訳
この章のポイント
- 総額は30万円〜300万円程度と幅がある
- 墓石撤去と新しい納骨先の費用が大部分
- お布施や離檀料もかかる
墓じまいにかかる費用は、大きく分けて「今のお墓を片付ける費用」と「遺骨を新しい場所に納める費用」の2つです。
| 費用の項目 | 金額の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 墓石の撤去・整地 | 1㎡あたり10万円前後(一般的な区画で30万円〜50万円程度) | 墓石の解体・運搬・処分、区画を更地に戻す |
| 閉眼供養のお布施 | 3万円〜10万円程度 | お墓から魂を抜く儀式、僧侶へのお礼 |
| 離檀料(寺院墓地の場合) | 3万円〜20万円程度 | これまでお世話になったお寺へのお礼 |
| 行政手続き | 数百円〜1,500円程度 | 改葬許可申請書、証明書の発行手数料など |
| 遺骨の取り出し・洗浄 | 1柱あたり1万円〜3万円程度 | 石材店が取り出し、必要に応じて洗骨・乾燥 |
| 新しい納骨先 | 5万円〜150万円程度 | 永代供養墓、樹木葬、納骨堂、散骨など |
| 開眼供養・納骨のお布施 | 3万円〜5万円程度 | 新しい納骨先での供養 |
墓石の撤去費用は立地で大きく変わる
墓石の撤去費用は、区画の広さだけでなく、墓地の立地によって大きく変わります。重機が入れない山の斜面や、通路が狭い墓地では、手作業での解体や運搬が必要になり、費用が高くなる傾向があります。寺院墓地では、指定の石材店が決まっていて、ほかの業者に依頼できない場合もあります。
遺骨の数で費用が増える
先祖代々のお墓には、何柱もの遺骨が納められていることがあります。遺骨の取り出しや新しい納骨先の費用は、遺骨1柱ごとにかかる場合が多いため、納められている遺骨の数を事前に確認しておきましょう。古い遺骨は土に還っていることもあり、その場合は墓地の土を一部持ち出して納めることもあります。
墓じまいの手続きと流れ
この章のポイント
- 親族の同意を得てから始める
- 改葬許可証がないと遺骨を移せない
- 全体で3か月〜半年程度かかることも
墓じまいは、次の流れで進めるのが一般的です。
| 手順 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1. 親族と話し合う | 墓じまいの意向を伝え、同意を得る | お墓は親族全体の問題、後のトラブルを防ぐ |
| 2. 新しい納骨先を決める | 永代供養墓・樹木葬・納骨堂などを選ぶ | 受入証明書を発行してもらう |
| 3. 墓地の管理者に伝える | 菩提寺や霊園に墓じまいの意向を伝える | 埋蔵証明書を発行してもらう |
| 4. 改葬許可を申請する | 今のお墓がある市区町村に申請 | 改葬許可申請書・埋蔵証明書・受入証明書を提出 |
| 5. 閉眼供養をする | 僧侶にお墓の魂抜きをしてもらう | お布施の金額を事前に確認 |
| 6. 遺骨を取り出し墓石を撤去 | 石材店に依頼して解体・整地 | 区画を更地にして管理者に返還 |
| 7. 新しい納骨先に納める | 改葬許可証を提出して納骨 | 開眼供養や納骨式を行う |
改葬許可申請に必要な書類
遺骨を別の場所に移すには、墓地、埋葬等に関する法律にもとづき、今のお墓がある市区町村から「改葬許可証」を受け取る必要があります。申請には、一般的に次の書類が必要です。
- 改葬許可申請書(市区町村の窓口やホームページで入手)
- 埋蔵証明書(今のお墓の管理者が発行、遺骨が納められていることの証明)
- 受入証明書(新しい納骨先の管理者が発行)
- 申請者の本人確認書類、墓地使用者との関係がわかる書類(求められた場合)
手数料は無料〜数百円程度の自治体が多く、遺骨1柱ごとに申請書が必要な場合もあります。申請書の書式は自治体ごとに異なるため、今のお墓がある市区町村のホームページからダウンロードするか、郵送で取り寄せましょう。
遺骨の新しい納め先と費用
この章のポイント
- 永代供養墓は管理の手間がかからない
- 樹木葬や散骨は自然に還る供養
- 自宅で保管する手元供養という選択肢も
墓じまいで取り出した遺骨の納め先には、次のような選択肢があります。
| 納め先 | 費用の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 永代供養墓(合祀墓) | 5万円〜30万円程度 | ほかの人の遺骨と一緒に納める、費用が最も安い |
| 永代供養墓(個別安置型) | 30万円〜150万円程度 | 一定期間は個別に安置し、期間終了後に合祀される |
| 樹木葬 | 5万円〜80万円程度 | 墓石の代わりに樹木を墓標とする |
| 納骨堂 | 20万円〜150万円程度 | 屋内の施設に遺骨を納める、都市部に多い |
| 散骨(海洋散骨など) | 5万円〜40万円程度 | 遺骨を粉末にして海などにまく |
| 手元供養 | 数千円〜数十万円程度 | 遺骨の一部を自宅で保管する |
永代供養墓・樹木葬を選ぶ人が多い
墓じまい後の納め先として選ばれることが多いのは、お寺や霊園が管理と供養を代わりに行ってくれる永代供養墓や樹木葬です。継承者がいなくても供養が続けられ、年間管理料がかからないところも多いため、次の世代に負担を残しません。
散骨や手元供養の注意点
散骨は、墓地を必要としないため費用を抑えられますが、一度まいてしまった遺骨は取り戻せません。親族の中に抵抗を感じる人がいないか、事前に話し合っておきましょう。遺骨を自宅で保管する手元供養は、遺骨の一部をミニ骨壺やアクセサリーに納め、残りを永代供養墓などに納める組み合わせ方もあります。
墓地の種類によって異なる注意点
この章のポイント
- 寺院墓地は離檀とお寺との調整が必要
- 公営墓地は返還手続きと原状回復
- 民営霊園は指定石材店の有無を確認
墓じまいの進め方は、お墓がどの種類の墓地にあるかによって少しずつ異なります。
| 墓地の種類 | 管理者 | 墓じまいで注意したい点 |
|---|---|---|
| 寺院墓地 | お寺(菩提寺) | 離檀料やお寺との関係、指定石材店の有無 |
| 公営墓地 | 都道府県や市区町村 | 返還の申請書類、更地にして返す期限 |
| 民営霊園 | 宗教法人や公益法人(運営は民間企業が多い) | 管理事務所への届け出、指定石材店の有無 |
| 共同墓地・みなし墓地 | 地域の自治会や集落 | 管理者がはっきりしない場合は、埋蔵証明書の発行元を自治体に相談 |
地方の古い共同墓地では、管理者が明確でなく、埋蔵証明書を誰に発行してもらえばよいかわからないことがあります。その場合は、お墓がある市区町村の担当窓口に相談すれば、手続きの方法を案内してもらえます。
親族に墓じまいを切り出すときのポイント
この章のポイント
- 早めに相談して独断で決めない
- 理由と今後の供養方法を具体的に伝える
- お参りできる場所を残す
墓じまいで最もトラブルになりやすいのが、親族との関係です。先祖代々のお墓に思い入れのある親族にとって、墓じまいは簡単に受け入れられる話ではありません。
切り出すときは、「管理が大変だから」と結論だけを伝えるのではなく、「遠方で年に一度もお参りできていない」「自分たちの子どもに負担を残したくない」など、墓じまいを考えた理由を具体的に説明しましょう。あわせて、遺骨をどこに移し、今後どのように供養を続けるのかを示すと、親族も安心しやすくなります。
新しい納骨先は、親族がお参りに行きやすい場所を選ぶ、年に一度は合同で法要を行うなど、先祖を大切にする気持ちが伝わる形にすれば、理解を得やすくなります。
離檀料のトラブルを避けるポイント
この章のポイント
- 離檀料に法的な支払い義務はない
- 相場は3万円〜20万円程度
- 早めに相談し、感謝の気持ちを伝える
寺院墓地で墓じまいをする場合、檀家をやめる「離檀」にあたって、お寺にお礼として離檀料を包むのが一般的です。
離檀料の相場と法的な位置づけ
離檀料の相場は、3万円〜20万円程度とされています。法要1回分のお布施が目安という考え方もあります。離檀料には法的な支払い義務はなく、あくまでこれまでお世話になったことへのお礼という位置づけです。
とはいえ、埋蔵証明書の発行など、お寺の協力がなければ墓じまいの手続きが進められないのも事実です。お寺の了解を得ないまま話を進めるのではなく、早い段階でお寺に相談し、墓じまいを考えている理由を丁寧に説明しましょう。
高額な離檀料を請求された場合
相場を大きく超える高額な離檀料を請求された場合は、その場で支払いを約束せず、根拠を確認しましょう。お寺との話し合いがまとまらない場合は、お寺が所属する宗派の本山に相談したり、弁護士や消費生活センターに相談したりする方法もあります。
墓じまいの費用を抑える方法
この章のポイント
- 石材店は複数社で相見積もり
- 新しい納骨先は合祀墓なら安い
- 自治体の補助制度を確認
墓じまいの費用を抑えるには、次のような方法があります。
- 墓石の撤去は、指定石材店がない場合は2〜3社から相見積もりを取る
- 新しい納骨先は、合祀型の永代供養墓など費用の安い選択肢を検討する
- 閉眼供養と納骨の日程をまとめ、僧侶の御車代などを抑える
- 墓じまいの代行サービスを利用し、手続きと工事を一括で依頼する
- 公営墓地の場合は、自治体の墓所返還に関する補助制度がないか確認する
墓じまい代行サービスを利用する
遠方に住んでいて何度も現地に行けない場合は、墓じまいの代行サービスを利用する方法もあります。行政手続きの代行、石材店の手配、閉眼供養の僧侶の手配、遺骨の取り出しと新しい納骨先への搬送まで一括で依頼でき、費用は内容によって20万円〜50万円程度からが目安です。依頼する前に、どこまでの作業が料金に含まれているかを必ず確認しましょう。
一部の自治体では、公営墓地の使用者が墓所を返還する際に、墓石の撤去費用の一部を補助する制度を設けているところもあります。お墓がある自治体のホームページや窓口で確認してみましょう。
墓じまいについてよくある質問
墓じまいに親族の同意は必要?
法律上、親族全員の同意が必要と定められているわけではありませんが、お墓には親族の遺骨も納められていることが多く、無断で進めるとトラブルになりがちです。事前に意向を伝え、理解を得てから進めましょう。
墓じまいにかかる期間は?
親族との話し合いや新しい納骨先探しを含めると、3か月〜半年程度かかるのが一般的です。お寺との調整や改葬許可の手続きに時間がかかることもあるため、余裕を持って計画しましょう。
墓じまいの費用は誰が払う?
一般的には、お墓の名義人(墓地の使用者)や、お墓を継いでいる人が負担します。兄弟姉妹で分担する家庭もあるため、親族で話し合って決めましょう。
墓じまいの後、仏壇や位牌はどうする?
墓じまいとあわせて実家の仏壇や位牌も整理する場合は、それぞれ閉眼供養をしてから処分するのが一般的です。お墓と同じ日に閉眼供養をまとめて依頼すれば、お布施や手間を抑えられます。
墓石はどのように処分される?
撤去した墓石は、石材店が産業廃棄物として処理するのが一般的で、砕いて道路の舗装材などに再利用されることもあります。墓石の一部を記念に残したい場合や、新しいお墓に再利用したい場合は、石材店に相談してみましょう。
墓じまいの費用と手続きについてまとめ
この記事のポイントをまとめます。
墓じまいは、先祖を大切に思う気持ちがあるからこそ悩む決断です。家族や親族と十分に話し合い、次の世代も無理なく供養を続けられる形を選んでいきましょう。
実家じまいとあわせて進める場合は、仏壇や位牌の整理も含めて、全体のスケジュールを立てておくと安心です。