高齢の親が運転免許を返納した、親が亡くなって実家の駐車場に車だけが残っている。使う人のいなくなった親の車をどう処分すればいいのか、名義や手続きがわからずに困っている方は少なくありません。
Yahoo!知恵袋にも「亡くなった父の車を売りたいが名義変更が必要?」「古い軽自動車でも買い取ってもらえる?」「廃車で税金が戻ってくるって本当?」といった質問が数多く寄せられています。
親の車の処分方法は、売却・廃車・家族への譲渡の3つが基本です。親が存命か亡くなっているかによって必要な手続きが大きく変わり、特に相続した車は、名義変更や相続人全員の同意が必要になる点に注意が必要です。手続きを後回しにした場合、毎年の自動車税や保険料がかかり続けるため、早めに方針を決めましょう。
本記事では、親の車を処分する方法と費用、親が存命の場合と亡くなった場合の手続きの違い、廃車で戻ってくる税金や保険料、少しでも高く売るコツまで、知恵袋に寄せられた声を交えて詳しく解説します。

親の車の処分方法は3つ
この章のポイント
- 値段がつくなら売却が基本
- 古い車や動かない車は廃車買取
- 家族が使うなら名義変更して譲渡
使わなくなった親の車の処分方法は、次の3つに分けられます。車の年式や状態、家族に乗る人がいるかどうかで選びましょう。
| 処分方法 | 費用・収入の目安 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 中古車買取店・ディーラーに売却 | 数万円〜数百万円の収入 | 年式が新しい、走行距離が少ない、人気車種 |
| 廃車買取業者に依頼 | 0円〜数万円の収入(手続き代行込みが多い) | 年式が古い、走行距離が多い、動かない |
| 家族や親戚に譲る | 名義変更の手数料数千円程度 | 家族に乗る予定の人がいる |
まずは売却できるかを確認する
車の処分を考えたら、まずは中古車買取店で査定を受けて、値段がつくかどうかを確認しましょう。一般的に、年式が10年以内、走行距離が10万km以内の車は、中古車としての需要があり、買取価格がつきやすい傾向があります。複数の買取店で査定を比較すれば、数万円〜十数万円の差が出ることも珍しくありません。
古い車や動かない車は廃車買取
年式が15年以上前の車や、走行距離が15万kmを超えた車、故障して動かない車は、中古車買取店では値段がつかないことがあります。こうした車は、廃車買取業者に依頼するのがおすすめです。廃車買取業者は、車を部品や鉄資源として再利用したり、海外に輸出したりするため、古い車でも0円以上で買い取ってくれることが多く、レッカー代や手続き代行費用を無料にしている業者もあります。
家族に譲る場合
子どもや孫など、家族に車を使う人がいる場合は、名義変更をして譲る方法もあります。名義変更には、運輸支局での手続きと、移転登録の手数料(500円)、車庫証明の取得費用(2,000円〜3,000円程度)などがかかります。
知恵袋に寄せられた声
Yahoo!知恵袋には、次のような相談が投稿されています。
- 父が免許を返納したが、20年乗った車をどうすればいいかわからない
- 亡くなった母の軽自動車を処分したいが、車検証の名義が母のままで手続きが進まない
- ディーラーでは値段がつかないと言われた車が、廃車買取業者では3万円で売れた
回答では「古い車は廃車買取業者に頼むと0円以上になることが多い」「名義人が亡くなっている場合は相続の手続きが先」「自動車税は4月1日時点の所有者にかかるので、3月中に処分したほうがいい」といったアドバイスが目立ちました。
親が存命の場合の手続き
この章のポイント
- 車検証の所有者を確認する
- 本人の書類と委任状を用意
- ローンが残っていれば所有権の解除が必要
親が存命で、免許の返納などを機に車を処分する場合は、親本人の名義のまま売却や廃車の手続きを進めます。
車検証で所有者と使用者を確認する
最初に、車検証(自動車検査証)の「所有者」欄を確認しましょう。所有者が親本人であれば、親の書類をそろえて手続きできます。ローンで購入した車の場合、所有者欄がディーラーやローン会社になっていることがあり(所有権留保)、ローンを完済したうえで所有権解除の手続きをする必要があります。
必要な書類
普通自動車を売却・廃車する場合に、一般的に必要な書類は次のとおりです。軽自動車の場合は、印鑑証明書の代わりに認印で手続きできるなど、必要書類が少なくなります。
| 書類 | 入手先 | ポイント |
|---|---|---|
| 車検証 | 車内に保管 | 紛失した場合は運輸支局で再発行 |
| 印鑑登録証明書 | 市区町村の窓口・コンビニ | 発行から3か月以内のもの |
| 実印 | 本人が保管 | 譲渡証明書と委任状に押印する |
| 自賠責保険証明書 | 車内に保管が多い | 廃車時の解約返戻金の手続きにも必要 |
| 自動車税の納税証明書 | 毎年5月の納付時に受け取る | 紛失時は都道府県税事務所で再発行 |
| 譲渡証明書・委任状 | 買取店や業者が用意 | 親本人が実印を押す |
親が高齢で手続きに行けない場合でも、買取店や廃車業者が委任状をもとに手続きを代行してくれるのが一般的です。親の判断能力が低下している場合は、成年後見制度の利用が必要になることもあります。
免許返納で受けられる特典
運転免許を自主返納した人は、本人確認書類として使える「運転経歴証明書」を申請できます(交付手数料1,100円)。運転経歴証明書を提示すれば、自治体によってはバスやタクシーの運賃割引、商業施設の配送料割引などの特典を受けられます。車を手放した後の移動手段を確保するためにも、住んでいる地域の特典を調べておきましょう。
親が亡くなった場合の手続き
この章のポイント
- 車は相続財産になる
- 相続人全員の同意で名義変更が必要
- 名義変更と売却を同時に進められる
親が亡くなった場合、車は預貯金や不動産と同じく相続財産になります。名義人が亡くなった車は、そのままでは売却も廃車もできないため、まずは相続の手続きが必要です。
相続人の中から車を引き継ぐ人を決める
相続人が複数いる場合は、誰が車を相続するのかを遺産分割協議で決めます。車だけを先に処分したい場合でも、相続人全員の合意が必要です。遺産分割協議書に、車を相続する人の名前と車の情報(登録番号、車台番号)を記載します。
査定額が100万円以下の普通自動車であれば、遺産分割協議書の代わりに「遺産分割協議成立申立書」という簡易な書類で手続きできる場合があります。
相続による名義変更に必要な書類
普通自動車の相続による名義変更(移転登録)には、次の書類が必要です。
- 車検証
- 亡くなった親の死亡が確認できる戸籍謄本(除籍謄本)
- 相続人全員が確認できる戸籍謄本
- 遺産分割協議書(あるいは遺産分割協議成立申立書)
- 車を相続する人の印鑑登録証明書と実印
- 車庫証明(相続した人が引き続き使う場合)
相続人が車を売却や廃車にする場合は、名義変更と売却の手続きを同時に進めてくれる買取店や廃車業者もあります。戸籍謄本の収集など、手続きに慣れていない場合は、業者に相談しながら進めるとスムーズです。
軽自動車の場合
軽自動車の相続手続きは、運輸支局ではなく軽自動車検査協会で行います。普通自動車に比べて必要書類が少なく、遺産分割協議書が不要な場合もあるため、手続きは比較的簡単です。
廃車の種類と手続きの流れ
この章のポイント
- 二度と乗らないなら永久抹消登録
- いずれ乗る可能性があれば一時抹消登録
- 手続きは業者に代行してもらえる
「廃車」には、大きく分けて2つの種類があります。親の車を今後どうするかによって選びましょう。
| 種類 | 内容 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 永久抹消登録 | 車を解体したうえで登録を抹消する | 二度と乗らない、古くて価値がない |
| 一時抹消登録 | 車を手元に残したまま、一時的に登録を抹消する | いずれ家族が乗る可能性がある、長期間使わない |
一時抹消登録をすれば、翌年度からの自動車税がかからなくなります。車は保管したままにできるため、「親の車をすぐには手放したくないが、税金はかけたくない」という場合に向いています。再び乗るときは、中古車新規登録の手続きをして車検を受け直せば公道を走れます。
廃車手続きの流れ
永久抹消登録の一般的な流れは、次のとおりです。
- 廃車買取業者や解体業者に依頼し、車を引き取ってもらう
- 解体業者が車を解体し、移動報告番号と解体報告記録日の連絡を受ける
- 運輸支局で永久抹消登録を申請し、ナンバープレートを返納する
- 自動車税の還付通知が届き、指定の方法で受け取る
廃車買取業者に依頼すれば、車の引き取りから運輸支局での手続きまで代行してもらえるのが一般的です。家族が平日に役所へ出向く必要がないため、遠方に住んでいる場合でも手続きを進められます。
廃車で戻ってくるお金
この章のポイント
- 自動車税は月割で還付(普通自動車のみ)
- 車検が残っていれば重量税も還付
- 自賠責保険は解約で返戻金
車を廃車(永久抹消登録)にした場合、前払いしている税金や保険料の一部が戻ってくることがあります。
| 還付されるお金 | 条件 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 自動車税(種別割) | 普通自動車を抹消登録した場合、翌月から3月までの月割 | 排気量によって数千円〜数万円 |
| 自動車重量税 | 車検の残り期間が1か月以上あり、解体して永久抹消した場合 | 残り期間に応じて数千円〜2万円程度 |
| 自賠責保険 | 残り期間が1か月以上ある場合に解約 | 残り期間に応じて数千円〜1万円程度 |
軽自動車税は月割の還付制度がないため、年度の途中で廃車にしても戻ってきません。自動車税は毎年4月1日時点の所有者に1年分が課税されるため、処分を考えているなら3月中に手続きを済ませておくと、翌年度の税金がかかりません。
任意保険の中断証明書も忘れずに
車を手放して任意保険を解約する場合は、保険会社に「中断証明書」を発行してもらいましょう。中断証明書があれば、最長10年間は等級を保存でき、将来ふたたび車に乗るときに割安な保険料で再開できます。親から子どもへ等級を引き継げる場合もあるため、保険会社に確認してみてください。
処分の前に車内の遺品や私物を確認する
この章のポイント
- ダッシュボードやトランクの中も確認
- ETCカードやドライブレコーダーを取り外す
- カーナビの個人情報を消去する
車を引き渡す前には、車内に残っている私物や遺品を必ず確認しましょう。長年使ってきた車には、思わぬ物が残っていることがあります。
- ダッシュボードやドアポケット、座席の下、トランクの中の私物
- 車検証入れの中の書類(保険証券や点検記録簿など)
- ETCカード(差したままになっていることが多い)
- ドライブレコーダーのSDカード(思い出の映像が残っていることも)
- カーナビに登録された自宅住所や電話帳などの個人情報
カーナビやオーディオに登録された自宅の住所、よく行く場所の履歴、スマートフォンと連携した電話帳などは、設定画面から初期化しておくと安心です。亡くなった親の車の場合は、ドライブレコーダーやカーナビに残った映像や写真が、家族にとって大切な思い出になることもあります。処分前に一度確認してみてください。
免許返納を親と話し合うときのポイント
この章のポイント
- 頭ごなしに否定しない
- 具体的な不安を伝える
- 車がなくなった後の移動手段を一緒に考える
親の車の処分は、免許返納の話し合いとセットになることが多いものです。高齢の親にとって、車は生活の足であり、自立の象徴でもあるため、返納を勧められると強く反発するケースも少なくありません。
話し合うときは、「もう年だから」と頭ごなしに否定するのではなく、「最近、車に擦り傷が増えているのが心配」「夜の運転がつらそうに見える」など、具体的な出来事をもとに気持ちを伝えましょう。75歳以上のドライバーは、免許更新時に認知機能検査を受けることが義務付けられており、検査の結果をきっかけに家族で話し合う方もいます。
車を手放した後の買い物や通院の手段を一緒に考えることも大切です。ネットスーパーや移動販売、自治体のデマンド交通、タクシーの割引制度などを調べて提案すれば、親も安心して返納を決断しやすくなります。
親の車を少しでも高く売るコツ
この章のポイント
- 複数の買取店で査定を比較
- 車内の私物を片付けて清掃
- 点検記録簿やスペアキーをそろえる
親の車を売却する場合は、次のポイントを押さえると査定額が上がりやすくなります。
- 2〜3社の買取店で査定を受けて比較する
- 車内の私物を片付け、簡単な清掃をしておく
- 点検記録簿(メンテナンスノート)、取扱説明書、スペアキーをそろえる
- 純正パーツを外している場合は一緒に渡す
- 自動車税の課税日(4月1日)より前に売却する
親が長年大切に乗ってきた車で、定期点検の記録がきちんと残っている場合は、年式が古くても評価されることがあります。
親の車の処分についてよくある質問
車検が切れた車でも処分できる?
車検が切れていても、売却や廃車は可能です。公道を走れないため、買取店や廃車業者にレッカーや積載車で引き取りに来てもらいましょう。引き取り費用を無料にしている業者も多くあります。
自動車リサイクル料金は払う必要がある?
2005年以降に購入された車は、購入時にリサイクル料金を預託済みのことがほとんどです。車検証と一緒に保管されているリサイクル券で確認できます。売却時には、預託済みのリサイクル料金相当額が買取価格に含まれるのが一般的です。
親の車を放置したらどうなる?
使わなくても、自動車税や任意保険料、駐車場代がかかり続けます。長期間動かさないとバッテリーやタイヤが劣化し、買取価格も下がるため、乗る予定がなければ早めに処分しましょう。
名義人が亡くなった車に乗り続けてもいい?
車を相続した人がそのまま乗る場合も、相続による名義変更が必要です。名義変更をしないままでは、売却や廃車ができないほか、事故の際の保険の手続きなどで支障が出る可能性があります。
親の車の処分についてまとめ
この記事のポイントをまとめます。
親の車は、家族の思い出が詰まった大切な財産です。手続きの流れを理解したうえで、税金や保険料の負担が膨らむ前に、家族で方針を決めていきましょう。
実家の片付けとあわせて進める場合は、車の処分も早めにスケジュールに組み込んでおくと安心です。